子犬をお迎えした最初の1週間は、楽しみと同時に「これで合っているのかな?」という不安も大きくなりやすい期間です。
ごはん、トイレ、夜鳴き、遊び方……。
初めてのことばかりで、戸惑ってしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。
私はこれまで、トイプードルとの暮らしで感じた気づきや、飼い主さんの悩みに寄り添うために、
Kindle本を11冊、紙の本(ペーパーバック)を6冊出版してきました。
また、プードルズハウスとして多くの子犬のお迎えに立ち会ってきました。
この記事では、「子犬のお迎え後1週間後で起きること」をテーマに、失敗しやすいポイントと、安心して過ごすためのコツを専門家の視点からわかりやすくお伝えします。
これから子犬を迎える方も、すでにお迎えして不安な気持ちになっている方も、どうか一人で抱え込まず、「あ、うちの子も同じなんだ」と、少しでも安心して読んでもらえたらうれしいです。
子犬をお迎えして1週間後――“最初の壁”は誰でもある

子犬をお迎えした最初の1週間後、“楽しさ”と“不安”がいっしょに押し寄せる期間です。
昨日までペットショップやブリーダーの家で過ごしていた子犬は、今日から突然「新しい家族」と「新しい環境」で暮らすことになります。
ふだん元気な子犬でも、最初の数日は、夜になると急に甘え鳴きをしたり、ごはんを残したり、トイレの失敗が増えたりします。
実はこれ、どの子も必ず通る「最初の壁」です。
不安になる必要はありません。
子犬の“心の変化”が落ち着くのは、だいたいお迎え後3〜7日くらい。
ここを乗り越えたとき、あなたと子犬の距離はぐっと縮まります。
なぜ最初の1週間が一番不安なのか
理由はとてもシンプルで、子犬にとって「全部が初めて」だからです。
・初めての匂い
・初めての音
・初めての人
・初めての生活リズム
慣れない環境は、大人の犬でもストレスになります。
ましてや、生まれてまだ数ヶ月の子犬にとっては、世界がひっくり返るような変化です。
「この家は安全なのかな?」
「この人は怖くないかな?」
そんな気持ちでいっぱいになっていると考えてあげてください。
子犬にも“環境変化のストレス”がある
子犬はストレスを言葉で表現できません。
その代わり、行動としてサインを出してくれます。
・食べる量が不安定になる
・落ち着きがなくなる
・夜に鳴くことが増える
・トイレが乱れる
・甘噛みが増える
どれも「この家はどんな場所なんだろう?」と探りながら暮らしている証拠です。
逆に言えば、環境と人に慣れてくれば、こうした行動はだんだんと落ち着いていきます。
▶ 子犬を迎える前にかかるお金も気になる方へ:
トイプードルを飼うための年間費用はいくら必要?初期費用を含めて詳しく解説!
お迎え後1週間で起きやすい5つの困りごと
ここからは、トイプードル専門家として、お迎え後1週間で特に相談が多い“あるある”を5つ取り上げていきます。
ごはんを食べたり食べなかったりする
「昨日はしっかり食べたのに、今日はほとんど残してしまった」こんなご相談は、とてもよくいただきます。
これは、体の問題というより心の問題(環境変化のストレス)であることがほとんどです。
不安が強いと、お腹は空いているのに食欲が落ちることがあります。
逆に、落ち着いてきたタイミングで急にモリモリ食べる子もいます。
対処のポイント
・ブリーダーやショップで与えていたフードを、基本的にそのまま続ける
・ふやかす場合は、いつもより少し長めにふやかして食べやすくする
・食事中はあまり構わず、静かな場所で様子を見守る
1〜2日程度の“ムラ”は、様子を見て大丈夫なことが多いです。
ただし、まったく食べない状態が続く、元気がない、下痢や嘔吐を伴う場合は、
迷わず動物病院に相談してください。
夜鳴き・甘え鳴きが続く
お迎え初日の夜から、「キュンキュン」「クゥーン」と鳴く子も多いです。
これは、ただ単純にさみしいだけ。
今まで一緒にいた兄弟や母犬から離れ、知らない場所で一人で寝るわけですから、不安になるのは当然のことです。
対処法のポイント
・ケージに毛布やタオルをかけて、周りが見えすぎないようにする
・部屋を真っ暗にはせず、うっすら明かりがある状態に
・生活音(テレビの小さな音や家族の気配)はそのままでOK
鳴くたびに抱っこしてしまうと、「鳴けば来てくれる」と学習してしまう場合があります。
できれば、短く声をかけるくらいにとどめておくのがおすすめです。
トイレの失敗が増える
お迎え直後、「あれ?ブリーダーさんのところでは上手にできていたのに……」そんなふうに感じる方も多いと思います。
でも、それは子犬に問題があるのではなく、環境が変わったことで、トイレの場所とタイミングがリセットされているだけです。
大切なのは、失敗を叱らないこと。
叱られてしまうと、「トイレをしたこと」そのものが悪いことだと勘違いしてしまいます。
トイレ成功に近づくコツ
・寝起き、遊んだあと、食後など“出やすいタイミング”でトイレに誘導する
・上手にできたら、その場でしっかり褒める(できれば3秒以内)
・失敗した場所は、ニオイが残らないように片づけを徹底する
▶ トイレトレーニングをやり直したい方はこちら:
子犬のトイレトレーニングやり直しで成功させるコツ5選!失敗理由も解説!
ケージから出たがる・落ち着かない
お迎え直後は、ケージの中でそわそわしたり、出してほしくて扉の前でカリカリすることもよくあります。
これは「ケージが嫌い」というより、あなたのそばにいたい気持ちのあらわれです。
安心させるコツ
・ケージの位置は、家族の気配が感じられるリビングの一角などに置く
・ケージの近くに座って、声をかけながら過ごす時間をつくる
・出すときは、短時間でメリハリをつける(ダラダラ出しっぱなしにしない)
「ケージ=安心して休める場所」というイメージを、少しずつ育てていければそれで十分です。
甘噛み・じゃれ噛みが増える
甘噛みは、成長の過程でほとんどの子犬に見られる行動です。
口の中がムズムズしたり、遊びの延長でつい強く噛んでしまうこともあります。
対処法のポイント
・噛んでいいオモチャを必ず用意しておく
・手や服を噛んだときは、声を荒げずスッと手を引いて遊びを中断する
・興奮しすぎてきたら、少し休憩タイムをつくる
「ダメ!」と感情的に叱るよりも、噛んでいいものを教えることに意識を向けてあげてください。
初めての1週間を“安心して過ごす”ためのコツ
ここからは、子犬との最初の1週間を、できるだけ安心して乗り越えるためのポイントをお伝えします。
子犬は「安心できる音」と「同じリズム」が大事
意外と誤解されがちなのが、「子犬を迎えたら、静かにしなきゃいけない」という考え方です。
実はその逆で、いつもの生活音があるほうが、子犬は安心しやすいのです。
テレビの音、家族の話し声、台所の物音……。
それらはすべて、「ここはふだん通りの安全な場所ですよ」というサインになります。
もう一つ大切なのが、毎日おおよその生活リズムをそろえること。
ごはんの時間、お散歩(まだなら抱っこで外の空気を感じる時間)、遊ぶ時間、寝る時間――。
大まかで構いませんので、「だいたい同じリズム」で過ごしてあげると、子犬の心はどんどん安定していきます。
構いすぎず、放置しすぎず「ちょうどいい距離感」
お迎えしたばかりの頃は、うれしくてつい構いすぎてしまうことがあります。
一方で、「かまいすぎはよくない」と思いすぎて、極端に距離をとってしまう方もいます。
どちらも悪いわけではありませんが、子犬にとって一番うれしいのは、「いつもそばにいて、必要なときに優しく声をかけてくれる存在」です。
常に抱っこするのではなく、ケージのそばで声をかけたり、横に座って様子を眺めたり。
そんな「ゆるやかな一緒の時間」が、子犬の安心につながっていきます。
成功よりも“安心”を優先する
お迎え直後の1週間は、「しつけを完璧にしなきゃ」と思う必要はありません。
・ごはんのムラ
・トイレの失敗
・夜鳴き
・甘噛み
これらはすべて“成長途中のサイン”です。
もちろん、少しずつ整えていくことは大切ですが、いちばん優先したいのは「この家は安心できる」と思ってもらうこと。
安心が土台にあれば、その上にルールやしつけはいくらでも積み重ねていけます。
夜鳴きは「優しく短く寄り添う」だけでいい
夜鳴きが続くと、飼い主さんも心配になりますし、「かわいそう」と感じてしまうこともあります。
そんなときは、部屋の明かりを少しつけて、ケージのそばまで行って、静かに短く声をかけてあげてください。
「大丈夫だよ、ここにいるからね」そんな一言を、10〜15秒くらいで十分です。
長時間抱き上げたり、ずっとケージから出してしまうよりも、このくらいの「ちょうどいい距離感」のほうが、子犬にとっても安心しやすいことが多いのです。
1週間が過ぎると、子犬は一気に落ち着く
ほとんどの子犬が、お迎えから1週間ほど経つと、少しずつ表情や行動が変わってきます。
・ごはんをよく食べるようになる
・トイレの成功率が上がる
・夜はぐっすり眠れる日が増える
・甘噛みの加減が少しずつ分かってくる
そして何より、あなたの顔を見る時間が増えていきます。
これは、「この人は安心できる存在だ」と感じ始めているサインです。
1週間を過ぎるころには、子犬にとってあなたは、「新しい飼い主さん」から「大切な家族」へと変わっていきます。
▶ トイプードルを迎える前に、見学について知っておきたい方はこちら:
岐阜でトイプードルのブリーダー見学なら?失敗しないための5つの確認ポイント!
まとめ|最初の1週間を乗り越えたあなたへ

子犬との暮らしの最初の1週間は、小さな試練と、小さな喜びがぎゅっと詰まった時間です。
うまくいかないことがあっても大丈夫。
子犬もあなたも、まだスタート地点に立ったばかりです。
大切なのは、「できた」「できなかった」ではなく、少しずつお互いを知っていくこと。
今日より明日、明日よりその先の1週間……。
少しずつ距離が縮まっていく時間そのものが、子犬との暮らしのいちばんの宝物になります。
もし今、不安でいっぱいになっている方がいたら、「うちの子だけじゃないんだ」と、ほんの少しだけ肩の力を抜いてもらえたらうれしいです。
それでも心配なときは、いつでも相談してくださいね。
プードルズハウスとして、そして一人の犬好きとして、あなたと子犬の1週間に寄り添っていきます。
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